【ワンポイント解説】聖書のサタン

この記事のポイント

悪魔的シンボルの代表であるサタン。その語源は「妨害する」という意味のヘブライ語の「サータン」とも言われます 。
今回は、聖書においてサタンが「人の敵対者」から「神の敵対者」になっていき、黙示録では包括的な悪のシンボルになっていることをご紹介します。

・「人の敵対者」だった神の僕
・「神の敵対者」となったサタン 
・黙示録に登場するサタンの諸勢力

ポイント1:「人の敵対者」だった神の僕

神は宇宙創造の5日目に「水に群がるもの、すなわち大きな怪物」(創世記1:21)を造りました。この大きな怪物はレビヤタンにも結びつけられています(詩篇74:13-14)。

レビヤタンの姿は恐ろしく「神々もおののき、取り乱して、逃げ惑う」(ヨブ記41:17)ほどですが、そのレビヤタンも唯一の神には服従しています(イザヤ書27: 1 )。

また、エデンの園でエバをそそのかした蛇も、神に罰せられて「人の敵対者」とされましたが、まだ神の敵対者ではありませんでした。

ヨブ記のサタンも人間ヨブに苦難と試練を与えますが、神には明白な敵意を示していません。サタンは神の僕だったのです。

ポイント2:「神の敵対者」となったサタン 

イザヤによれば、神は「光を造り、闇を創造し、平和をもたらし、災いを創造する者」(イザヤ45:7)でした。つまり、悪も神の創造の内における堕落と理解されていたわけです。

しかし、バビロン捕囚を経て、ヤハウェは「全能者」(ヨエル1:15)としての性格を強めていきました。

神が聖なる者であり、善であることが強調されるにつれ、悪の根源は神以外に求められるようになっていきます。

こうして「神の敵対者」としてのサタンのイメージがいよいよ強められていくのです。

ポイント3:黙示録に登場するサタンの諸勢力

『ヨハネの黙示録』には「歳老いた蛇」、「サタン」、「悪魔」、また、サタンと同一視される竜が地上に送った代行者である獣が登場します(13:2)。ここで興味深いのは、竜や獣が明確に区別されていないことです。

サタンと獣は「悪意に満ちた敵対者」として包括的に描かれています。そして、このサタンの諸勢力は「火と硫黄の池」(20:10)に投げ込まれ、神の力によって完全に滅ぼされ、新天新地が到来するのです。

まとめ

・サタンは 神の僕 で、人の敵対者だった
・バビロン捕囚を経て、サタンは神の敵対者となっていった
・黙示録に登場するサタンの諸勢力の敗北

以上、聖書におけるサタン像の変遷についてご紹介しました。サタンは「人の敵対者」から「神の敵対者」へと変化していきましたが、その背後には、聖なる神の完全さが強調されていました。

黙示録でサタンが包括的な悪のシンボルとして登場しているのも、神がすべての分野において、悪を滅ぼされるという希望を示しているのではないでしょうか。

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