【ワンポイント解説】ヨム・キプールとは

この記事のポイント

・恐れの10日間に神が裁きを行う
・大贖罪日に山羊が人の罪を負わされ、死んだ
・イエスも人の罪を負い、死なれた

新年の10日目となるヨム・キプールは、大贖罪日とも言われ、ユダヤ人たちにとって最も厳粛な日です。多くの人々は、この日は断食して、神の前に1年の罪を悔い改めます。

ポイント1:恐れの十日間とは

ユダヤ新年の日になると、神様は過ぎた一年の人々の行状の記録を調べ、それに基づいて裁きを行われるのだと、ユダヤの人々は考えました。新約聖書の「ヨハネの黙示録」にも、それを思わせる場面があります。

また、死んでいた者が、大いなる者も小さき者も共に、御座の前に立っているのが見えた。かずかずの書物が開かれたが、もう一つの書物が開かれた。これはいのちの書であった。死人はそのしわざに応じ、この書物に書かれていることにしたがって、さばかれた。(ヨハネの黙示録 20:12)

完全な悪人と、完全な善人は、すぐに神様が判決を出されるのですが、良い所も悪い所もあるのが普通の人間です。そこで神様は、十日間の悔改めの期間をお与えになり、その悔改めの程度を見て、最終的な判決を出すと、ユダヤ人たちは考えました。ですから、この十日間は「ヤミーム・ノライーム」、恐れの十日と呼ばれ、友人たちに一年の罪をお詫びしたりする人々もいます。

ポイント2:神殿で行われた謎の儀式

神殿があった時代、ヨム・キプールの日には不思議 な儀式が行われていました。聖書のレビ記にあるその部分を読んでみましょう。

そしてアロンは、その生きているやぎの頭に両手をおき、イスラエルの人々のもろもろの悪と、もろもろのとが、すなわち、彼らのもろもろの罪をその上に告白して、これをやぎの頭にのせ、定めておいた人の手によって、これを荒野に送らなければならない。(レビ記 16:21)

可哀そうなヤギは、イスラエルの全ての人の罪を負わされて、崖から突き落とされました。会社や役所などで何か問題が起こった時、罪を負わされる人を「スケープ・ゴート」と言いますが、その語源はこの儀式です。

新約聖書には、イエス・キリストが全人類の罪を負って死なれた、という教えがありますが、ヨム・キプールの儀式はその教えの原形なのです。

キリストもまた、多くの人の罪を負うために、一度だけご自身をささげられた後、彼を待ち望んでいる人々に、罪を負うためではなしに二度目に現れて、救を与えられるのである。(ヘブル9:28)

ポイント3:断食してささげる、悔改めの祈り

さて、十日間かけて悔改めたユダヤ人たちは、ついにヨム・キプールの日を迎えます。この日、イスラエルでは救急部門などを除いて会社も役所も休業となります。

多くの人々が断食してシナゴグに集まり、様々な祈りがささげられますが、その中でも最も知られたのが、コル・ニドレイ(kol nidrei)です。

それは「全ての誓い」という意味で、自分が果たせなかった誓いを全て取り消してくださいと、神に懇願するものです。物悲しいそのメロディーは、ユダヤ人たちが神にあわれみを求める祈りなのです。

多くの祈りがささげられた後、日没にはショファー、角笛が吹き鳴らされて、厳しい裁きの日は終りを告げます。

まとめ

・恐れの10日間に神が裁きを行う
・大贖罪日に山羊が人の罪を負わされ、死んだ
・イエスも人の罪を負い、死なれた

ユダヤ人たちにとって、一年を通じて最も厳粛な日、ヨム・キプールについて学びました。この日に行われた儀式は、新約聖書の教えと深く関係していることも学びました。

さて、ヨム・キプールが終わると、厳粛な雰囲気は一転して、人々は次の楽しい祭、スコットの準備を始めます。

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