【ワンポイント解説】ロシュ・ハシャナとは
この記事のポイント
・悔い改めから新年がはじまる
・ユダヤ新年(ロシュハシャナ)は秋
・秋が新年の理由は、月の名前にある!?
ポイント1:ユダヤカレンダーはなぜ9月から?
イスラエルの空港などでカレンダーを買うと、たいてい9月から始まっています。翌年の12月まで16か月分があるので、ちょっと得をした気分です。
カレンダーが9月から始まる理由は、ユダヤ暦の一年が、9月から10月に祝われる、ロシュ・ハシャナの祭から始まるからです。
「ロシュ」は頭、「シャナ」は年を意味するので、ロシュ・ハシャナは年の頭、つまり新年祭なのです。
イスラエルではこの日、「シャナ・トバー」、「良い一年を」という意味の挨拶を交わします。
ポイント2:ロシュ・ハシャナが新年になった理由は?
ロシュ・ハシャナの祭に関する、聖書の言葉を読んでみましょう。
レビ記 23:24 「イスラエルの人々に言いなさい、『七月一日をあなたがたの安息の日とし、ラッパを吹き鳴らして記念する聖会としなければならない。
七月一日と書いてあるのに、なぜそれが新年なのでしょうか。それは、この日に世界が創造され、人類の歴史が始まった日だと、ユダヤのラビたちが考えたからです。
その理由は、世界の創造を記した聖書の初めの言葉「ベレシート」を並べ替えると、「ティスレ(第七の月)の1日」になるからなのだそうです。
そして、この日を基準に暦の年数を数える風習が定着しました。ユダヤカレンダーを見ると、5千7百8十何年という年数が書いてありますが、これはなんと聖書の記述から逆算した、天地創造以来の年数を意味しているのです。
ポイント3:祭りの重要行事はラッパを吹くこと
さて、さきほどの聖書の個所に書かれたように、ラッパを吹き鳴らすことがこの祭の重要な行事です。
鳴らすラッパは、ショファーと呼ばれる独特の形をした角笛で、伝統的には、テキアー、トルアー、シェバリームという3種類の吹き方をします。
この日には、一年のサイクルを表す丸いものと、甘い一年になるように、との願いを込めて甘いものを食べる風習があります。
リンゴに蜂蜜をかけて食べたり、丸いハニーケーキを食べたりするのは昔からの定番ですが、最近では魚の頭や果物類など、新たな象徴的食品を食べる風習も広がっています。
ポイント4:新年は悔い改めが始まる時
ロシュ・ハシャナの日になると、ユダヤ人たちは海や川など水のある所に行って、ポケットのゴミや、小石、パンのかけらなどを水に投げ込みます。
そして彼らは、聖書のミカ書の最後にある、神様がユダヤ人たちの罪を「海の深みに投げ入れ」る、という言葉を唱えるのです。これを「タシリーク」と言います。
…神はいつくしみを喜ばれるので、その怒りをながく保たず、再びわれわれをあわれみ、われわれの不義を足で踏みつけられる。あなたはわれわれのもろもろの罪を海の深みに投げ入れ、昔からわれわれの先祖たちに誓われたように、真実をヤコブに示し、いつくしみをアブラハムに示される。(ミカ 7:18-20)
罪の悔改めは、ユダヤの新年の重要な行事。新年の10日目に祝われるヨム・キプールの祭りまで、特別な悔い改めの期間が続きます。
まとめ
・悔い改めから新年がはじまる
・ユダヤ新年(ロシュハシャナ)は秋
・秋が新年の理由は、月の名前にある!?
ユダヤカレンダーの最初に祝われる祭、ロシュ・ハシャナ、ユダヤ新年についての説明、楽しんでいただけましたでしょうか。
新年から始まる悔い改めについては、次の「ヨム・キプール」で詳しくご紹介させていただきます。どうぞご覧ください。