【ワンポイント解説】失われた十族
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旧約聖書の創世記に登場するヤコブは、またの名をイスラエルと言い、彼の12人の息子はイスラエル12部族の祖になったと言われています。しかし、その後の歴史の中で10部族の行方は分からなくなってしまいました。そこで、今日では、その人々を「失われた十部族」や「失われた十族」と呼ぶ人々もいます。今回は、そんな「失われた十族」についてご紹介いたします。
・失われた十族とは
・イスラエルとユダの回復
・世界各地に残る十族の痕跡
・十族の回復預言は成就するか
ポイント1:失われた十族とは
イスラエル王国はソロモンの死後、南北に分裂してしまいます。そして、北のイスラエル王国は前722年にアッシリアに滅ぼされてしまいました。
アッスリヤの王はイスラエルの人々をアッスリヤに捕えていって、ハラと、ゴザンの川ハボルのほとりと、メデアの町々に置いた。(列王記下18:11)
それから百年余り後、南のユダ王国も新バビロニアに滅ぼされ、人々は捕らえられ、バビロンに移されます。しかし、ユダ王国に住んでいた2部族はエズラやネヘミヤに率いられてイスラエルに帰り、神殿を再建しました。
ところが、北のイスラエル王国に住んでいた十の部族は、帰国した記録がありません。それでも、1~2世紀に書かれた新約聖書の「ヤコブの手紙」の冒頭には
神と主イエス・キリストとの僕ヤコブから、離散している十二部族の人々へ、あいさつをおくる。(ヤコブの手紙 1:1)
と書かれているので、当時は全部族の所在がわかっていた、と考える人もいます。しかし、その後、北王国に住んでいた十部族の足取りは途絶え、彼らはいつしか「失われた十族」と言われるようになりました。
ポイント2:イスラエルとユダの回復
イスラエル民族は、世界中に離散していたのに、再び約束の地に帰りました。それを予告した聖書の言葉を注意深く読むと、その多くは、北のイスラエル王国と、南のユダ王国がセットになって回復すると書いています。
主は国々のために旗をあげて、イスラエルの追いやられた者を集め、ユダの散らされた者を地の四方から集められる。(イザヤ書11:12)
また、新約聖書の中で、終わりの時代について記した「ヨハネの黙示録」にも、十二部族が全部そろって救われると書かれています。
わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのすべての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった。
ユダの部族のうち、一万二千人が印をおされ、ルベンの部族のうち、一万二千人、ガドの部族のうち、一万二千人、アセルの部族のうち、
一万二千人、ナフタリの部族のうち、一万二千人、マナセの部族のうち、一万二千人、シメオンの部族のうち、一万二千人、
レビの部族のうち、一万二千人、イサカルの部族のうち、一万二千人、ゼブルンの部族のうち、一万二千人、ヨセフの部族のうち、
一万二千人、ベニヤミンの部族のうち、一万二千人が印をおされた。(ヨハネの黙示録7:4-8)
ポイント3:世界各地に残る十族の痕跡
大航海時代が始まり、多くのキリスト教の宣教師たちが世界各地に宣教に赴くようになると、失われた十族を「発見」したとの報告が相次ぎます。
それらの中で、ファラシャと呼ばれるエチオピアの人々、インド西部に住むブネイ・イスラエル、インド北東部に住むブネイ・マナセの3グループは、かなり確実性が高いとして、現在、イスラエルの機関の支援によりイスラエルへの帰国が進んでいます。
ポイント4:十族の回復預言は成就するか
聖書の言葉は必ず成就するので、十族の回復預言も成就するでしょう。しかし、失われた十族に関しては、いくつかの見方があります。
A:象徴的解釈 「十二部族」は実際の数ではなく、「イスラエル全家」と同じ意味だ、とする見方です。
B:全部族は混血 現在のユダヤ人は、一部の人々を除いて系図が失われ、もはや何族かわかりません。ですから、失われた十族の血も、現在のユダヤ人の中に生きている、という見解です。
まとめ
・足取りが途絶えた北王国に住んでいた十部族
・北王国と南王国は揃って回復する
・十族の痕跡が世界に残っているという報告も
・「十族」の解釈は様々だが回復預言は成就する
以上、失われた十族に関する基礎知識を学びました。イスラエルの北王国に住んでいた「失われた十族」は、確かに回復することが約束されています。しかし、彼らがどこにいるのか、確かなことは誰にもわかりません。
確かなことは、イエスを信じるなら、失われた十族であっても、なくても、ほぼ同時に同じ救いにあずかることができるということです。
わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのすべての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった……
その後、わたしが見ていると、見よ、あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、数えきれないほどの大ぜいの群衆が……
御座と小羊との前に立ち、大声で叫んで言った、「救は、御座にいますわれらの神と小羊からきたる」。(黙示録 7:-10)
まだイエスを信じていない皆さん、私たちと一緒に、聖書を学んでみませんか?