【聖書講座 #02】ノアの洪水

この回のポイント

第2回はカインとアベル、ノアの洪水、バベルの塔と3つの事件を学びますが、結局、物事は悪い方向に進みます。しかし、その中でも、注目すべき救済のヒントが、いくつか登場します。

その第一は、アベルがささげた動物と、洪水後にノアがささげた動物犠牲(燔祭)です。これはキリストにつながる重要な伏線。

第二は、洪水により多くの罪人が殺された一方、ノアの一家が救われ、虹の契約で地を滅ぼす洪水を再び起こさないと神が約束されたこと。これは洗礼を指し示す「型」の一つです。

カインとアベル

先回は、神が天地を造られたことと、神に創造された人間が罪を犯し、死が入り込んできたことを学びましたが、今回は、人がエデンの園を追放された、その後のお話をしましょう。

エデンの園を追放された後、人はその妻エバを知り、彼女はカインを産み、さらに、その弟アベルを産みました。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となりました。

日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とし、アベルも、群れのういごと肥えたものとを持ってきました。主は、アベルとその供え物とを顧みられたのですが、カインとその供え物とを顧みられなかったので、カインは大いに憤って顔を伏せました。

そこで、主はカインに言われました。
「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。

アベルを殺害したカイン

カインは弟アベルを野に連れ出し、立ちかかって彼を殺しました。

主はカインに、アベルがどこにいるか問われましたが、カインは「知りません。私が弟の番人でしょうか。」と答えます。

主はカインがのろわれ、地上の放浪者となることを告げたのに対し、カインは自分の罪が重くて負いきれないこと、また、自分を見つける人はだれでも彼を殺すだろうと答えます。

しかし、主はカインを殺す者は七倍の復讐を受けることと、カインを見付ける者が、彼を打ち殺すことがないように、彼に一つのしるしをつけられました。カインは主の前を去って、エデンの東、ノドの地に住みました。

アダムから10世代にあたるノア

一方、アダムとエバの間には男の子が生まれ、「セツ」と名付けられます。セツにもまた男の子が生まれ、エノスと名付けられました。この時、人々は主の名を呼び始めました。

これはアダムから、きょうのお話の主人公であるノアまでの系図です。聖書には、この系図に出てくる人々の年齢が記されていますが、いずれも驚くほど長命です。アダムは930歳まで生き、きょうの主人公のノアは500歳になって、セム、ハム、ヤペテの三人の子を生みました。

アダムからノアまでは10世代ですが、7代目に当たるエノクについては、「神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった」と記されています。

ノアに箱舟を造るよう命じる

神は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪いことばかりであるのを見られ、地の上に人を造られたことを悔いて、主が創造された人を地のおもてからぬぐい去ろうと考えられました。

しかし、ノアは主の前に恵みを得ます。神はノアに、すべての人を地とともに滅ぼすと語られ、いとすぎの木で箱舟を造るように命じられます。さらにノアと契約を結ぶことも伝えられ、ノアは、すべて神に従いました。

主はノアに言われました。
「あなたと家族とはみな箱舟にはいりなさい。あなたがこの時代の人々の中で、わたしの前に正しい人であるとわたしは認めたからである。あなたはすべての清い獣の中から雄と雌とを七つずつ取り、清くない獣の中から雄と雌とを二つずつ取り、また、空の鳥の中から雄と雌とを七つずつ取って、その種類が全地のおもてに生き残るようにしなさい。七日の後、わたしは四十日四十夜、地に雨を降らせて、私の造ったすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります」。

ノアはすべて主が命じられたようにしました。

洪水が地に起こる

洪水が地に起こったのは、ノアが600歳の2月のことでした。雨は四十日四十夜、地に降り注ぎ、地のおもてにいたすべての生き物は、地からぬぐい去られ、ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残りました。水は150日のあいだ地上にみなぎりましたが、10月になり、山々の頂が現れました。

その後、ノアはからすを放ち、次に、はとを放つと、はとはオリーブの若葉をくわえてノアのもとに戻ってきました。

ノアが601歳の2月に地はかわき、神は次のようにノアに言われました。
「あなたは妻と、子らと、子らの妻たちと共に箱舟を出なさい。あなたは、共にいる肉なるすべての生き物、すなわち鳥と家畜と、地のすべての這うものとを連れ出て、これらのものが地に群がり、地の上にふえ広がるようにしなさい」。

ノアとその家族、すべての生き物は、箱舟を出ました。

にじが契約のしるしとされる

ノアが主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥のうちから燔祭をささげると、主はその香ばしいかおりをかいで、心に言われました。
「わたしはもはや二度と人のゆえに地をのろわない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、このたびしたように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない。地のある限り、種まきの時も、刈入れの時も、暑さも寒さも、夏冬も、昼も夜もやむことはないであろう」。

神はノアおよび共にいる子らに「わたしはあなたがた及びあなたがたの後の子孫と契約を立てる」と言われ、すべて肉なる者は、洪水によって滅ぼされることはなく、地を滅ぼす洪水を再び起こさないことと、にじを契約のしるしとされることを伝えられました。

セム、ハム、ヤペテ

さてノアは農夫となり、ブドウ畑をつくり始めました。

彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていると、ハムが父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げました。セムとヤペテは着物を取ってうしろ向きに歩み寄り、父の裸をおおい、父の裸を見ることはありませんでした。

やがて酔いがさめたノアは、ハムがしたことを知って、彼が呪われ、兄弟たちに仕えることを告げます。ノアは洪水の後、350年生き、950歳で死にました。

バベルの塔

ノアの子であるセム、ハム、ヤペテから地上の諸国民が分かれましたが、全地は同じ発音、同じ言葉でした。人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住み、町と塔を建てて、その頂を天に届かせ、全地のおもてに散るのを免れようとしました。

主はそれをごらんになって、
「民は一つで、みな同じ言葉である。彼らはすでにこの事をしはじめた。彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう」と言われ、彼らの言葉を乱し、互いに言葉が通じないようにされました。

こうして彼らは町を建てるのをやめ、その町の名はバベル(古代メソポタミア都市バビロンのヘブライ語表記。アッカド語で「神の門」の意)と呼ばれました。

主がそこで全地の言葉を混乱(バラル:旧約聖書では「混乱」を意味する神話的解釈が与えられている)させ、彼らを全地のおもてに散らされたからです。

次回予告

今回は、罪を犯したアダムとエバの間に生まれた初めての子であるカインが罪に負け、弟を殺した話から始まりました。その後アダムから7代目に当たるエノクが神とともに歩んだことが語られますが、依然として人の悪が地にはびこっていたため、主は洪水を起こして人を地のおもてからぬぐい去ろうと考えられます。

主はエノクから3代目に当たるノアに箱舟を造らせ、ノアの家族とすべての生き物を洪水から守られました。地から水が引いたのち、神はノアたちに地を滅ぼす洪水を再び起こさないことと、にじを契約のしるしとされることを伝えられました。

しかし、その後も人の悪は収まるどころか、人々は町と塔を建てて、その頂を天に届かせ、彼らの名を上げて、全地のおもてに散らされるのを免れようと考えます。そこで主は、彼らの言葉を乱し、互いに言葉が通じないようにされました。

次回は、神が悪に満ちた世から人を救うために、どのような策を講じられたかを学んでゆきましょう。

SKKの聖書講座のご案内

SKKでは聖書講座を開講しております。より詳しい内容も学んでいただけますので、お気軽にお問い合わせください。

 ●  お問合せフォーム

 ●  LINE公式アカウント

 ●  メール

受講方法や開講日時等についてご案内させていただきます。

ページトップへ