【聖書講座 #00】聖書とは
この回のポイント
聖書の特徴は、その「ストーリー性」にあります。人間が罪を犯した後、神は罪を解決するために様々な手を打たれるのですが、多くの妨害が入ります。そして、新約聖書において、神ご自身の愛する御子イエス・キリストにより救済の福音が語られ、使徒たちがそれを世界に伝えます。
これは「ストーリー」なので、最初の部分だけを読んでも解決策はわからず、最後の部分だけ読んでも「なぜそうなったか」がわかりません。この教材は、聖書全体の「ストーリーの流れ」を、全20回で学ぶことを目的として作成されています。

2,000以上の言語に翻訳されている本
今日までに2,000以上の言語に翻訳されている本をご存知でしょうか? 聖書は世界のベストセラーであり、ロングセラーです。聖書を読むにあたって知っておきたい知識を、皆さまにお伝えします。
聖書は66の書から成る文書群
みなさんは、本を買う時に、著者名を確認されるでしょう。そして、書かれた年も確認されるかもしれません。実は、聖書の著者が誰であるか、また成立年がいつであるかについて、一致した見解はありません。
聖書は66の書から成る文書群であるため、個々の文書について論じるのか、「聖書」という一つの本として論じるのかでも、大きな違いが出てきます。
聖書には66巻の文書が収められており、前半の39巻をまとめて「旧約聖書」、後半の27巻をまとめて「新約聖書」と言います。「ヘブライ語聖書」、「ギリシャ語聖書」という呼び方をする場合もあります。
旧約聖書の39巻や、新約聖書の27巻は、それぞれ独立した文書であると同時に「旧約聖書」や「新約聖書」として連続したストーリー性も持っています。ちょうど、シリーズものの映画をイメージしたら良いでしょう。
「旧約聖書」と「新約聖書」の間に連続性はあるか
「旧約聖書」と「新約聖書」の間に連続性はあるのか、という問いに対しては、キリスト教徒の場合、答えはYesになります。
新約聖書の中心的存在であるイエスは、旧約聖書で出現が預言されている「救世主」あるいは「メシア」のことであると考えているからです。しかし、新約聖書を聖典としないユダヤ教徒にとって、旧約聖書と新約聖書の間に連続性はありません。新約聖書のイエスは旧約聖書に預言されている救世主とは無関係であると考えるためです。
聖書はいつ、誰によって書かれたか
著者と成立年代に関する問いに戻りましょう。旧約聖書の39巻だけでも、それぞれの成立年代には、数百年の差があり、著者も異なります。そのため、聖書の中には多様な思想が、時には相反するような形で共存しています。
そして、それらの文書が集められ、聖書として成立した年代は、「旧約聖書」が紀元前2世紀、「新約聖書」は3~4世紀ごろと言われています。
聖書の著者に関して、3つの見解をご紹介しておきましましょう。
一つ目の見解は、聖書に書かれている人物――たとえば、ここで言う、文書の題名になっている、イザヤ、マルコといった人物や、手紙の差出人として記載されているパウロ、といった人物によって書かれたとする見解です。
二つ目の見解は、近代の合理主義を反映した見解で、聖書に記載された人物ではない人々が複数の資料を基に、文書を編集したというものです。
三つ目の見解は、これまでの二つと異なった次元の話ですが、聖書を紙に書いて記録したのが誰であれ、それは神がその人に命じて行ったことであるから、真の著者は神であるという考え方です。
あなたはどう思われるでしょうか。この講座を学びながら考えてみてください。
聖書はどこで書かれたのか
聖書はどこで書かれたのでしょうか。キリスト教、というと、ヨーロッパのきれいな教会をイメージされるのではないでしょうか。また、キリスト教人口の多いアメリカをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、聖書は中東地域で書かれた書物です。旧約聖書はもともとユダヤ人の書物だったので、彼らの言葉であったヘブライ語で書かれました。
一方、新約聖書の登場人物も大半がユダヤ人です。しかし、彼らの教えは地中海東部、今のトルコやギリシャへと広がって行きました。その地域の共通語はギリシャ語だったので、新約聖書はギリシャ語で書かれることになったのです。
聖書は、なぜ、書かれたのか
聖書は、なぜ、書かれたのでしょうか。答えは、一緒に聖書を「みて」考えていきましょう。
この講座の狙いは「聖書には何が書いてあるか」を、知っていただくことです。66の文書から成る聖書には、様々な思想がそのままの形で記されています。
これらの書の中には、矛盾する見解や、私たちの理解を超えた部分もあります。しかし、この講座は、聖書を合理的に説明することよりも、聖書の記述を、そのままご紹介することに重点を置いて進めて行きます。
旧約聖書と新約聖書。聖書全体のページ数で言うと、新約聖書は1/4程度しかありませんが、新約聖書は、二千年にわたって人類に大きな影響を与えました。そこで、この講座では、旧約聖書と新約聖書から、それぞれ10のポイントを選んで、ご紹介させていただきます。
10分みるだけEasy Bible とは
聖書を読むのはハードルが高そう…という方でも学べるように
20課に分けて、聖書を学んでいただける講座を準備いたしました。さあ、ご一緒に聖書を学んでいきましょう!
【旧約聖書】
1. アダムとエバ
2. ノアの洪水
3. アブラハム
4. 出エジプト
5. 約束の地へ
6. ダビデ王
7. 北王国
8. 南王国
9. バビロン捕囚
10. 帰還時代
【新約聖書】
11. キリストの誕生
12. 弟子の召命
13. ガリラヤでの宣教
14. 最後の一週間
15. 教会の誕生
16. パウロの回心
17. 福音はヨーロッパへ
18. パウロはローマへ
19. 使徒たちの苦難
20. ヨハネと黙示録