【ワンポイント解説】プリムで読まれるエステル記とは
この記事のポイント
・モルデカイを憎んだハマン:500年来の因縁?
・ハマンが出したユダヤ人虐殺命令
・自分の用意した道具で処刑されるハマン
エステル記は日本で流通している旧約聖書では17番目に、ユダヤ人が読んでいる聖書では、最後の方に収録されています(『諸書』に分類されています)。
今回は、そんなエステル記のストーリーについて学びます。
ポイント1:モルデカイを憎んだハマン:500年来の因縁?
エステル記にはアケメネス朝ペルシャで起こった出来事が書かれています。エステル記の主な登場人物は4人います。
まず、アハシュエロス王です。彼はギリシャとの大戦争である「ペルシャ戦争」を起こしたクセルクセス1世として知られています。
次はハマンです。ハマンはアハシュエロス王の家来の中で一番地位が高い人でした。ハマンの祖先はイスラエル王国の初代国王サウルに敵対したアマレク人アガグだと言われています。
残りの二人であるエステルとモルデカイはユダヤ人です。エステルは美しい女性で、アハシュエロス王の妃です。両親を失った彼女は従兄弟のモルデカイに育てられました。
モルデカイの祖先はサウル王と縁戚関係にありました。モルデカイとハマンは対立関係にありますから、この物語はサウルとアガグの争いとしても読めます。
ポイント2:ハマンが出したユダヤ人虐殺命令
アハシュエロス王はハマンを重用し、王宮で働く全ての役人はハマンに敬礼するよう命令を出しました。しかし、モルデカイはそれを守りませんでした。
怒ったハマンはアダルの月の13日にペルシャ帝国に住むユダヤ人を滅ぼすべく、王に命令を出すよう求めます。アハシュエロス王は自分の指輪をハマンに渡し、この命令を出させました。
それを見たモルデカイは、王妃となっていた養女のエステルに、王の説得を頼みます。エステルは、ハマンと王とエステルの3人の宴を開いてもらうよう掛け合いました。
一方ハマンは、自分だけが王夫婦の宴に招かれたことで気を良くし、モルデカイの処刑道具まで用意していきます。
ポイント3:自分の用意した道具で処刑されるハマン
宴でエステルは王にハマンに出させた命令を取り消すよう頼みます。王はハマンに怒りを抱きました。そして、ハマンが用意した処刑道具を使ってハマンを処刑しました。
しかし、一度王の名前で出した命令は取り消せません。モルデカイとエステルの関係を知った王はハマンから取り返した指輪をモルデカイに与え、ユダヤ人に好きな命令を出すように言いました。
そこでモルデカイはユダヤ人に、襲ってくる人たちに反撃し、その家族を滅ぼして財産を奪うようにと命令を出したのです。(※しかし、実際には「そのぶんどり物には手をかけなかった」エステル記9:10, 15)
アダルの月の13日、ユダヤ人は襲ってきたペルシャ人を滅ぼして、自分たちの命を守りました。そして、アダルの月の14日と15日を祝日に定めました。
まとめ
・ユダヤ人だったモルデカイを憎んだハマン:500年来の因縁?(サウル王 vs アガグ)
・ハマンがユダヤ人虐殺命令を出す
・エステルが嘆願し、王はハマン自身が用意した道具でハマンを処刑した
イスラエルではこの出来事を記念したプリムの祭りが毎年祝われ、エステル記が読まれます。プリムの祭りについては別の動画でも解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください!