【ワンポイント解説】ハヌカの祭り

この記事のポイント

・奇跡的な勝利を祝うハヌカの祭
・「宮きよめの祭」は新約聖書に登場
・8日間かけて祝う光の祭
・ユダヤ人のクリスマス!?

新約聖書で「宮きよめの祭」「神殿奉献祭」と呼ばれるハヌカの祭は、ちょうどクリスマスの時期に祝われます。今回は、このハヌカの祭について学んでみましょう。

ポイント1:奇跡的な勝利を祝うハヌカの祭

紀元前2世紀、ユダヤはシリアを支配していたアンティオコス朝の支配下に入りました。その王エピファネス4世は、人々にギリシャの神々を礼拝することを強要したのです。エルサレムの神殿は汚され、ギリシャの神々の像が置かれるようになりました。

そこで人々は信仰を守るために反乱を起こし、長く苦しい戦いの末に、シリアの軍を破って独立を回復したのです。それを記念するのがハヌカの祭です。

エルサレムの神殿を取り戻したユダヤ人たちは、祭壇をきよめ、燭台に火をともしました。その時、燭台に使える聖なる油は1日分しかなかったのですが、油が用意できるまでの8日間、不思議なことに火は燃え続けたと言われます。

それを記念して、ハヌカの祭は8日間かけて祝います。

ポイント2:「宮きよめの祭」は新約聖書に登場

この事件は旧約聖書がほとんど完結した後で起こりました。ですから、旧約聖書の中にこの祭は登場しません。しかし、「旧約聖書続編」に収録されたマカバイ記には詳しい戦いの記録があります。

それから百数十年、イエス・キリストの時代になると、多くの人々がハヌカの祭が祝うようになりました。ヨハネによる福音書にはこんな記述もあります。

10:22 そのころ、エルサレムで宮きよめの祭が行われた。時は冬であった。
10:23 イエスは、宮の中にあるソロモンの廊を歩いておられた。
※「神殿奉献祭」となっている訳もある。

ここに登場する「宮きよめの祭」あるいは「神殿奉献祭」が、ハヌカの祭です。

ポイント3:8日間かけて祝う光の祭

ハヌカの祭の主な行事は、ハヌキヤと呼ばれる9本の枝を持つ燭台に点火することです。ハヌキヤは9本の蠟燭さえ灯せれば、どんな形でもOKです。最初に「シャマシュ」と呼ばれる1本に点火し、それを使って他の燭台に点火するのが伝統です。

ハヌカの祭は8日間かけて祝いますが、最初の日はシャマシュに点火して、他に1本だけに点火します。2日目には2本、3日目には3本、と1本ずつ増やして行き、8日目には全部に点火します。ユダヤ暦では日没から新しい日が始まるので、私たちのカレンダー上では前夜に点火することになります。

ハヌカの祭には、「マオズ・ツル」などの歌を歌って楽しみます。また、スフガニヤと呼ばれるゼリードーナツや、ラトケというポテトフライも祭の定番の食べ物。そして、ドレイデルという四角い駒を使ったゲームを楽しみます。

ポイント4:ユダヤ人のクリスマス!?

ユダヤ人たちは、ほとんどクリスマスを祝いません。12月になると、西洋ではキリスト教徒の子供たちはクリスマスを、ユダヤ人の子供たちはハヌカを祝います。そこで、ハヌカの祭は「ユダヤ人のクリスマス」とも呼ばれるようになりました。

そんな事情もあって、最近では「メリー・クリスマス」や「ハッピー・ハヌカ」という挨拶に代えて「シーズンズ・グリーティングス」「ハッピー・ホリデーズ」という表現が使われます。

クリスマスは12月25日、ハヌカの祭はユダヤ暦でキスレヴの月の25日に祝われます。ですから、これら二つの祭は関係しているという人もいます。

ハヌカの祭は燭台にあかりを灯す「光の祭」です。そしてイエスは、ご自分が「世の光」だと語られました。

ヨハネ8:12 イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。」

「世の光」であるイエス・キリストの誕生を祝うクリスマスと、光の勝利を祝うハヌカの祭は、やっぱりつながっているのかもしれません。

まとめ

クリスマスの時期に祝われるユダヤの祭、ハヌカについて学びました。

昔は、クリスマスを祝う人々と、ハヌカを祝う人々は分かれていたのですが、最近ではどちらも祝う人々も増えて来ました。

二つの祭を通し、聖書への理解がより深められたら素敵ですね。

SKKの聖書講座のご案内

SKKでは聖書講座を開講しております。より詳しい内容も学んでいただけますので、お気軽にお問い合わせください。

 ●  お問合せフォーム

 ●  LINE公式アカウント

 ●  メール

受講方法や開講日時等についてご案内させていただきます。

ページトップへ