【ワンポイント解説】シメオンとは

この記事のポイント

・「シメオン」=「聞く」ことに関係する名前
・旧約聖書:ヤコブの子シメオンはのろいを受ける
・新約聖書:エルサレムのシメオンは最初に救い主を見た
・「のろい」から「救い」へ、という神の計画の完全性

ポイント1:シメオンという名前の意味

シメオン「שמעון」はヘブル語で、シャマア「שְׁמַע」(聞く)から来た名前です。

この「聞く」という単語は…
興味を持って聞く、聞いて答える、願いを受け入れられた、
という意味の他にも、

裁きに関することを聞く、聞いて怒る
聞いて許す、触れて知った、

など、さまざまな意味を持ちます。

ポイント2:〔旧約聖書〕ヤコブ(イスラエル)の子、シメオン

旧約聖書に登場するヤコブとレアの間に生まれた二番目の息子がシメオンです。

ヤコブにはもう一人の妻がおり、彼はその妻を愛していたので、
レアは「主は私が嫌われるのをお聞きになって、わたしにこの子をも賜った」(創世記 29:31)
と言って、男の子にシメオンという名を付けました。

デナの事件(創世記34章)

シメオンにはデナという妹がいました。ある時、デナはカナンの地の有力者の子に辱められてしまいます。

ヤコブ一族は怒りましたが、有力者の子はデナとの結婚を強く望んだため、彼らは偽ってこれを承諾しました。

しかしシメオンはその間に、悲しみと怒りを増幅させ、兄弟のレビと共謀してその土地の男性をすべて殺戮し、略奪してしまったのです。

12人の息子たちへの祝福とのろい(シメオンとレビへのことば)

月日は流れ、ヤコブは死の床で12人の息子に将来の 事を告げます。この時、シメオンはレビと共にのろいを告げられました。

「シメオンとレビとは兄弟。彼らのつるぎは暴虐の武器。……彼らは怒りに任せて人を殺し、ほしいままに雄牛の足の筋を切った。彼らの怒りは、激しいゆえにのろわれ、彼らの憤りは、はなはだしいゆえにのろわれる。……」(創世記 49:5-7)

その後、シメオン族の数は減り、小さな部族となってしまいました。

ポイント3:〔新約聖書〕エルサレムのシメオン

新約聖書に登場するエルサレムに住んでいたシメオンは救いを見た人でした。この人は正しい信仰深い人で、イスラエルが慰められることを待ち望んでいました。

シメオンは救主に会うまで死ぬことはない、と聖霊から示されていました。そして、エルサレムで幼子イエスに出会ったシメオンは、神をほめたたえます。

「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりにこの僕を安らかに去らせてくださいます、わたしの目が今あなたの救を見たのですから。この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、異邦人を照らす啓示の光、み民イスラエルの栄光であります」。(ルカによる福音書 2:29-32)

「今こそ、安らかに」という言葉からは、シメオンが暗い時代の中でも救いを待ち続けていたことが伝わってきます。聖書には、このシメオンの言葉を聞いたヨセフとマリアが驚いたと書かれているので(ルカ2章33節)、彼はエルサレムで最初に救主を見たと考えられます。

まとめ:のろいから救いへ

激しい怒りと憤りのためにのろいを受けたヤコブの子シメオンとエルサレムで幼子イエスに出会ったシメオンが同じ名前を持っていたことは決して偶然ではないでしょう。

ヤコブの子シメオンは、のろいによって神の祝福を十分に受けられませんでしたが、神はその後の時代に忍耐の中で救を待ち望んでいたシメオンに、しかも最初に、約束の救主に会わせてくださいました。

二人のシメオンの生涯を通して、神の配慮がいかに細やかであるかを知ることができます。

皆さんの上に真の光である救主との素晴らしい出会いと喜び、そして祝福がありますように!

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