【ワンポイント解説】改名の聖書的意味
この記事のポイント
・神によって名前が変えられた人
・名前が変えられること = 神の祝福と約束のしるし
・神は必ず約束を守られる
聖書には神によって名前が変えられた人々がいます。一見すると強引とも思えるこの出来事を通して、彼らにどんな変化が起こったのでしょうか?神の目的、ご計画と合わせて考えます。
ポイント1:アブラムとサライ
アブラハムとサラは創世記に登場する夫婦です。ある時、アブラムが自分の後を継ぐ子どもが居ないことを主なる神に打ち明けた時に、アブラム自身から跡継ぎとなる者が出ることや星の数ほどの子孫が与えられるという主のことばが臨みます。アブラムはそのことばを信じたので、主はそれを義と認められました。しかし、2人には長い間子どもが生まれなかったので、サライはエジプト人のハガルという、つかえめを妻としてアブラムに与え、イシュマエルという男の子が生まれます。月日は流れ、アブラム99歳、サライ89歳の時に、主は再びアブラムに現れて、子孫繁栄の約束と、主ご自身が彼と彼の子孫の神となってくださるという永遠の契約を結ばれました。
アブラム「高貴なる父」→ アブラハム「多くの国民の父」
アブラム「高貴なる父」はアブラハム「多くの国民の父」という名前に変えられました。
「わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたは多くの国民の父となるであろう。」あなたの名は、もはやアブラムとは言われず、あなたの名はアブラハムと呼ばれるであろう。わたしはあなたを多くの国民の父とするからである。」(創世記17:4-5)
サライ「美しい女性(ひと)」 → サラ「高貴なる女性/王妃」
アブラハムとなったアブラムは、妻のサライの名前も同じように変えられること、1年後にサラからイサクという男の子が生まれることを約束されました。そして、サライ「美しい女性(ひと)」もサラ「高貴なる女性/王妃」という名前に変えられました。
神はまたアブラハムに言われた、「あなたの妻サライは、もはや名をサライといわず、名をサラと言いなさい。」わたしは彼女を祝福し、また彼女によって、あなたにひとりの男の子を授けよう。わたしは彼女を祝福し、彼女を国々の民の母としよう。彼女から、もろもろの民の王たちが出るであろう。」(創世記17:15-16)
小括
神のことばがあってもアブラハムは最初、神にひれ伏しながらも笑って信じようとせず「百歳の者にどうして子が生まれよう。」と心の中で思い、イシュマエルを自分の跡継ぎにと願い出ます。
主が再び現れて、子どもが生まれることを告げた時にも、聞いていたサラはこっそりと心の中で笑いました。現実には不可能と思えたからです。
しかし、神が語られた通り、1年後に九十歳のサラはアブラハムの息子イサクを産み、永遠の契約が継承されたのです。こうして、神のご計画は人の思いをはるかに越えたところで行われました。
ポイント2:ヤコブ→イスラエル
ヤコブはアブラハムの子イサクとリベカの息子で、エサウという双子の兄がいました。
その誕生は特殊で、リベカの胎内にいる時、兄が弟に仕えるという主のことばがあった後、兄のかかとをつかんで生まれて来たため、ヤコブと名付けられました。
ヤコブ=かかとをつかむ者、取って代わる(英語訳)/人を出し抜く(日本語訳)という意味を持っています。
ある時、ヤコブは狩猟のために飢え疲れて帰って来たエサウからパンとレンズ豆を交換条件として、言葉巧みに長子の権利を買います。その後、高齢となったイサクがエサウに祝福を与えようとした時、ヤコブはエサウの姿で近づいて祝福を奪ってしまいます。
(この時から)エサウに命を狙われることになったヤコブは、母リベカからの提案でおじ(伯父)のラバンのもとへと逃れます。
その途上、天のはしごの夢とアブラハムからイサクに続く祝福の約束を受け、神が共におられるという励ましを得たヤコブは、ラバンのもとで苦労を重ねながら富を築き、妻たちを連れて故郷に向かいます。
しかし、ヤコブには解決しなくてはならない問題がひとつありました…エサウとの和解です。
ヤコブ → イスラエル「神と戦う者/神が支配する」
すべての所有物と家族を先にヤボク川を渡らせ、ひとりになった時、ヤコブは天使と夜明けまで格闘して勝利し、名実ともに神からの祝福を得ます。
「あなたはもはや名をヤコブと言わず、イスラエルと言いなさい。あなたが神と人とに、力を争って勝ったからです」。(創世記32:27)
神はヤコブを祝福し、ヤコブはイスラエル(「神と戦う者/神が支配する」)となりました。
小括
神から与えられる祝福の重さを知っていたヤコブは、神と自分とに真剣に向き合いながら、アブラハムからイサクに続く祝福を得ました。
ヤコブから生まれた12人の息子たちは、やがてイスラエルの子らと呼ばれる12部族の基(もとい)となっていきます。
まとめ
・神によって名前が変えられた人
・名前が変えられること = 神の祝福と約束のしるし
・神は必ず約束を守られる
今日は神によって名前が変えられた人々をご紹介しました。神に見出され、特別な役割を与えられた彼らですが、その心の底にある願いを神は聞き逃さずに、必要なものをお与えになられました。
名前が変えられたことは神の祝福と約束のしるしでもあります。その人が新しいアイデンティティを受け取り、生きるということの約束がこの名前の変化にあらわれているのではないでしょうか。
皆さんも、この人の思いを越えた祝福を与えてくださる神様に、本気でぶつかってみませんか?