【ワンポイント解説】聖書の40とは
この記事のポイント
・「40」は聖書で、忍耐・試みの数
・40年は一世代がめぐる数でもあり、新しい始まりを予期させる
・イエスが宣教開始前に荒野にいたのも40日間、復活後に地上いたのも40日間
「40」は聖書中の要所要所で登場する重要な数字です。たとえば、イエスの宣教開始前と復活後におきた出来事もそれぞれ「40日」でした。今回は、「40」が登場している場面と、「40」が象徴している意味について考えます。
ポイント1:忍耐、苦難、試みのイメージ
40は忍耐、苦難、試みのイメージを伴う数字です。神にとっては忍耐の時であり、人にとっては苦難、試みの時、反省する時と言えます。
たとえば、ノアの方舟のことを考えてみましょう。神は人の悪が地にはびこっているのを見て、ノアに洪水で地を滅ぼすと告げました。そして、地上に雨を40日40夜、降り続けさせました。
七日の後、わたしは四十日四十夜、地に雨を降らせて、わたしの造ったすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります」。(創世記 7:4)
また、「40」に「10」をかけた400という数字もやはり、苦難・試みのイメージと繋がっています。神はイスラエルの民が約400年、エジプトの国で奴隷となると告げています。
時に主はアブラムに言われた、「あなたはよく心にとめておきなさい。あなたの子孫は他の国に旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを四百年の間、悩ますでしょう。(創世記 15:13)
そして、イスラエルの民は約400年の試みの時を終え、出エジプトを果たします。そして40日かけて約束の地を探るのですが、神を信じず、エジプトに帰ると言い出します。そこで、神はついに怒って、民が40年の間、荒野をさまよい、その間に大人たちは死に絶えると告げました。
……あなたがたの子たちは、あなたがたの死体が荒野に朽ち果てるまで四十年のあいだ、荒野で羊飼となり、あなたがたの不信の罪を負うであろう。(民数記 14:33)
このように、40は、忍耐、苦難、試みのイメージを伴います。しかし、40の持つイメージはそれだけではありません。
ポイント2:世代、区切りのイメージ
40年は世代のイメージと結びついています。先ほどご紹介したように、イスラエルの民が荒野を旅したのが40年ですが、40年の間に親たちの世代は死に絶える、と神が語っているように、それは一世代を意味していると言えます。
彼らがイスラエルに入り、そこで最初の3代の王となった、サウル、ダビデ、ソロモンの治世もそれぞれ40年です。
ちなみに、ソロモンが神の宮として建てた第一神殿にも「40」という数字が出てきます。それは「至聖所」の前にある「聖所(拝殿)」の長さです。「聖所」は清い場所として「区切られた」場所とも言えます。
宮すなわち本殿の前にある拝殿は長さ四十キュビトであった。(列王記上 6:17)
このように、40は試みや苦難だけではなく、「世代」、「一つの時代」、「区切り」といったイメージも持つと言えます。
ポイント3:イエスと2つの「40日」 始まりを予感させる数
イエスにまつわる二つの重要な「40」という数字も確認しておきましょう。
イエスはバプテスマのヨハネから洗礼を受け、宣教を始める前に荒野でサタンの試みに遭われました。その試みに遭われた期間が40日間でした。
イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた。(マルコによる福音書 1:12-13)
また、イエスは十字架に架かり、復活されました。そして、地上で証をされましたが、その期間も40日間でした。
イエスは苦難を受けたのち、自分の生きていることを数々の確かな証拠によって示し、四十日にわたってたびたび彼らに現れて、神の国のことを語られた。(使徒行伝 1:3)
このように「40」は「区切り」、つまり、新しい時代の始まり予感させる数としても重要だと言えそうです。
まとめ
今回は、40という数字が登場する箇所と、40にまつわる「試み」「一世代」「区切り」、さらに、新しい始まりへの予感、といったイメージをご紹介しました。
新たな「始まり」に先立つものは、「終わり」です。キリストはご自身の十字架での死という「終わり」を通して、新たな契約の「始まり」をもたらされました。聖書は、キリストによって古い自分は死に、新しい人生を歩めることを伝えています。
だれでもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである。(コリント人への第二の手紙 5:17)
みなさんも、新しい人生の歩みをはじめてみませんか?