【ワンポイント解説】聖書の新年とは
この記事のポイント
・聖書の「正月」は春
・現在のユダヤ暦の新年は秋
・お祭りとは、神と人とが「出会う時」
聖書には「正月」に関する記述が登場しますが、それは日本のお正月と時期が違います！
現在、ユダヤ暦では秋が新年ですが、聖書の「正月」は春を指しているのです。でも、なぜ、春が正月なのでしょうか…？
聖書に登場する「正月」についての記述
新年は、新しいことを始める時ですね。
聖書の中には、イスラエルの人々が「正月」、あるいは「１月」に新しいことを始めた、という記録があります。
たとえば、イスラエルの民が、エジプトを出発し、荒野の旅を始めたのは正月の１５日でした。
彼らは正月の十五日にラメセスを出立した。すなわち過越の翌日イスラエルの人々は、すべてのエジプトびとの目の前を意気揚々と出立した。（民数記 33: 3）
そして彼らが、謎に満ちた「契約の箱」を安置する「幕屋」を建てたのも、正月の元日です。
第二年の正月になって、その月の元日に幕屋は建った。（出エジプト記40: 17）
さらに、彼らが、ヨルダン川を渡って約束の地に入ったのは、正月の十日でした。
民は正月の十日に、ヨルダンから上がってきて、エリコの東の境にあるギルガルに宿営した。（ヨシュア記 4:19）
ヒゼキヤ王が神殿を大掃除したのも、正月の元日から１６日間です。
彼らは正月の元日に清めることを始めて、その月の八日に主の宮の廊に達した。それから主の宮を清めるのに八日を費し、正月の十六日にこれを終った。（歴代志下29:17）。
神殿を再建するために、エズラたちがバビロンを出発したのも正月の元日でした。
すなわち正月の一日にバビロンを出立して、五月一日にエルサレムに着いた。その神の恵みの手が彼の上にあったからである。（エズラ7:9）
イスラエルの人々は、どうやら「正月」に特別な意味を感じていたようです。しかし、彼らは、現在のわたしたちが使っているグレゴリオ暦とは違う暦を使っていました。
ポイント1：聖書の新年はいつ？
聖書に出て来る「正月」とは、いったいいつの事だったのでしょうか。神はイスラエルの民がエジプトを出発する時に「これを年の正月としなさい」と命じ、それを記念する「過越の祭」を永久に守るようにと言われました。
この月をあなたがたの初めの月とし、これを年の正月としなさい。（出エジプト記 12:2）
その祭を、ユダヤ人たちは何千年も守り続けています。
過越の祭りの時期は「春」
[聖書の新年はグレゴリオ暦の3〜4月]
彼らが過越の祭を祝う時期は、私たちのカレンダーでは３月から４月です。
イスラエルでは冬が終わって夏が始まる頃で、桜に似たアーモンドの花が咲きます。ちょうど日本で新学期が始まる時期に、聖書の暦は新年を迎えるのです。新しいことを始めるには、ちょうどよい季節だと思いませんか？
ポイント2：ロシュハシャナは「秋」（ラッパの祭り）
ところで、現在のイスラエルのことをご存じの方は、この話を聞いて、ちょっと混乱されるかもしれません。現在のユダヤカレンダーでは、秋の始まりの９月から１０月に祝われる「ラッパの祭」（ロシュ・ハシャナー）が新年となっているからです。
ラッパの祭について定めたレビ記２３章２４節の規定を読んでみましょう。
「七月一日をあなたがたの安息の日とし、ラッパを吹き鳴らして記念する聖会としなければならない。」（レビ記 23:24）
[聖書の祭りは春からの一方で、年数の計算などは秋から]
七月一日と書かれていて、これはグレゴリオ暦の9〜10月に相当します。ここでは、「新年」という扱いではありませんが、ユダヤ人の長い歴史の中で、聖書の祭は春から始め、年数の計算などは秋のラッパの祭から始める、という風習が定着しました。
ポイント3：お祭り = 神と人とが出会う時
聖書の祭のサイクルは、聖書に記録された事件を記念し、追体験するもので、全てが季節感を伴っています。ユダヤの祭を、ヘブライ語ではמוֹעֵד モエドと言います。それは、神と人とが「出会う時」、という意味合いも持っているのです。
まとめ
・聖書の「正月」は春
・現在のユダヤ暦の新年は秋
・お祭りとは、神と人とが「出会う時」
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