【聖書講座 #05】約束の地
この回のポイント
この部分を聖書で読むと難解ですが「幕屋」や「祭司」という重要な仕組み、そして罪の解決の道筋が神から示されます。これらは、いずれも、キリストによる贖いと密接に関係しています。
ところが、重要な使命を与えられたイスラエルは、大きな失敗をして、何十年も荒野をさまようことになるのです。それでも、一度選んだ民を、神はお見捨てになることはありませんでした。
「神の賜物と召しとは、変えられることがない」(ローマ11:29)のです。

紅海が二つに分かれる
先回は、ヨセフの話に始まり、イスラエルの民がエジプトを脱出するまでのお話をしましたが、今回はイスラエルの民がモーセに率いられ、荒野から約束の地イスラエルへと向かうお話です。
主がモーセに紅海を二つに分けさせ、イスラエルの民がエジプトの軍勢から無事に逃れることができた時、モーセとイスラエルの民は主を賛美して歌い、アロンの姉ミリアムはタンバリンを手に取り、
「主に向かって歌え。主は大いなる威光を現し馬と乗り手を海に投げ込まれた」と、彼らに和して歌いました。
水や食物が尽き、神が奇跡を起こされる
イスラエルの民は紅海を渡ってから荒野を3日間進みましたが、水がなくなってしまいます。やっと水を見つけたのですが、その水は苦くて、飲むことができませんでした。そこで、モーセが主が命じられたように、1本の木を水に投げ込むと、水は甘くなりました。(出エジプト記15:25)
イスラエルの民がエジプトを出て6週間が経って、食物も尽きたため、人々はモーセに不平を言いました。モーセが主に叫ぶと、主は毎日天からパンを降らせられました。
人々はこのパンのことを「マナ」と呼びました。神は7日に1回、安息日を定めて、その前日には2日分のマナを降らせ、安息日には民が休むようにされました。(同16章)
さらに人々は旅路を進み、レピデムに来ましたが、また飲み水がありません。人々がモーセに苦情を言うと、主はモーセにエジプトから携えてきた杖で岩を打つように言われます。すると、水が出てきて民は喉を潤すことができました。(17章)
アマレクに勝利
イスラエルの民がレピデムにいた時、アマレク人の軍勢が攻めてきました。モーセはヨシュアという若者に軍を率いて出陣させ、自分は神の杖を手に持って丘の頂に立ちました。
モーセが手を上げている間、イスラエルは優勢になりましたが、手を下すとアマレク人が優勢になったので、アロンとホルがモーセの手を支え、ヨシュアはアマレクを打ち破ることができました。
シナイの荒野で十戒が与えられる
エジプトを出て3ヵ月目にイスラエルの民はシナイの荒野に到着しました。モーセが神のもとに登って行くと、主は、主の契約を守るなら、イスラエルは祭司の王国、聖なる国民になると、民に語るようにとおっしゃいました。
また、主が3日後にシナイ山に降られるため、民を聖別し、準備をするようにと命じられたので、モーセは山から下り、民に伝えました。(19章)
三日目の朝になると、雷鳴と稲妻と厚い雲が山に臨み、角笛の音が鋭く鳴り響いたので、民はみな震えていました。
そして神は「わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。」と言われ、十の戒めを語られました。(出エジプト記20章)
モーセはアロンらに留守を任せ、ヨシュアと共に山に入ると、主の栄光がシナイ山の上にとどまり、雲が6日の間、山を覆っていました。7日目に主は雲の中からモーセに呼びかけられ、モーセは四十日四十夜、山にいました。
そして主は、幕屋についての指示などをモーセに語り終えられると、両面に神の指で文字が記された2枚の掟の石の板をモーセに授けられました。
民が十戒を破り、神の像をつくる
さて、モーセが山からなかなか下りて来ないのを見て、民はアロンのもとに集まり、神の像を造ってほしいと言い出しました。神の像を造ることは、十戒の中で、神から厳しく禁じられています。
ところが、アロンは民の言った通りに金で子牛の像を作り、祭壇も作って、祭を行ったのです。
主はそれをご覧になって怒り、イスラエルの民を滅ぼそうとされますが、モーセが必死に主をなだめ、とりなしたため、主は民を滅ぼすことを思い止まられました。(同32章)
モーセがヨシュアとともに下山すると、金の子牛の像の前で、民が踊っていました。モーセは激しく怒って金の子牛を粉々に砕き、人々を厳しく罰したため、神の怒りは少し和らぎました。
モーセが安息日の遵守と「幕屋」の建設の準備を命じる
モーセは民を集め、安息日を守ることを命じ、また、移動式の神殿である「幕屋」の建設の準備を進めるようにと伝えました。
そして、幕屋が完成すると、モーセは掟の板を「契約の箱」に入れ、幕屋の奥に運び入れました。主は雲となって、民を導かれました。
主の栄光が幕屋に満ち、雲がその上にとどまっているときには民は旅路の足を止め、雲が離れて昇ると民は出発し、旅を続けました。(同40章20-38節)
カナンの地に偵察に行く
イスラエルの民がパランの荒野、今のイスラエル国境近くまで来た時、主はモーセに12部族からそれぞれひとりを選び、主が彼らに与えようとされているカナンの土地を偵察するように命じられました。
40日の後、戻って来た12人は、大きなブドウの房を持ち帰り、「確かにカナンはすばらしい土地です」と報告しました。
そして10人が言いました。「でも、あの土地の人々はみな強そうです。彼らに比べたら、私たちなど、まるでイナゴのようでした」。
カレブは「戦えば必ず勝てます」と言いましたが、多勢に無勢で誰も聞いてはくれませんでした。(民数記13章)
神が怒り、40年間荒野を旅することに
人々は「ああ、エジプトで死んでいた方がよかったのに。みんなでエジプトに帰ろう」と言い出しました。
モーセとアロンは全会衆の前でひれ伏し、懇願しました。土地を偵察してきたヨシュアとカレブは衣を引き裂き、民に訴えました。
しかし、人々は誰も聞く耳を持ちません。
そこで、ついにお怒りになった主は、ヨシュアとカレブ以外の人々は40年間、荒野を旅するうちに死に絶えて、彼らの子供だけが約束の地に入ると告げられたのです。(同14:28-34)
モーセの死
しかし、その40年が、ついに終わる日が来ました。その間に、イスラエルの人々は大回りしてヨルダン川の東側に来ていました。
主はモーセに死期が近いことを告げられ、ヨシュアを後継者にするようにと、告げられました。
モーセはモアブの平野からネボ山に登り、ピスガの頂に行って、主が語られた言葉を聞きました。
「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫に与えると言って誓った地はこれである。わたしはこれをあなたの目に見せるが、あなたはそこへ渡って行くことはできない」。
そして、モーセは主の言葉のとおりにモアブの地で120年の生涯を閉じました。(申命記34章)
ヨシュアはイスラエルの民とシッテムを出立し、ヨルダン川の岸に着きました。
そして、祭司たちが契約の箱を担いでヨルダン川に入ると、不思議なことに川上で水がせき止められ、民は乾いた地面を渡ることができました。民が渡り終え、祭司が対岸に上がると、川の流れは元に戻りました。(ヨシュア記3章)
次回予告
次回は、約束の地に入ってからイスラエルに何が起こったかをお話しします。どうぞ、お楽しみに。